ナミビア北東部の秘境Tsumkwe(ツンクウェ)では今でも狩りを行うサン族(通称ブッシュマン)と呼ばれる民族が生活しています。
Grootfonteinから約250キロ、車で4時間ほど。後半の200キロはグラベルロード(未舗装路)をボツワナの国境の手前まで行くことでやっとたどり着けます。
グラベルロード
ついにTsumkwe到着!メインロードの様子。
Tsumkweは場所が場所だけに、街中にはガソリンスタンドもなく、小さな商店が数店あるだけで商業的には非常に小さい印象です。
商店を発見。
中の様子。
意外と豊富な品揃え。
ガソリンスタンドを発見した。
しかし中身は空っぽだった…
こんな辺境の地でも多くの家が見られ、1000人近く収容できそうな大きな学校もありました。
さて、ここからは宿泊/観光ポイントを紹介。
非常に情報の少ないTsumkweですが、以下の宿泊/観光施設があるようです。
- Little Hunter’s Living Museum
- Tsumkwe country lodge
今回は「Little Hunter’s Living Museum」に行きました。
街中から北に23キロ。砂が深くて4駆でないと行けません。
Museumの詳細は以下より確認できます。
http://www.lcfn.info/hunters
プログラムがあり、時間と料金が決まっています。
自分は約1日かけてハンティング、火おこし、アクセサリー作り、動物用トラップ作り、弓矢の射かたなどを学び、歌や踊りを見せてもらいました。
ガイドが非常に丁寧に、そして詳しく説明してくれて本当に濃く貴重な時間を過ごすことができました。
【弓矢】
今でも狩りを行っています。
弓矢体験しました。うまく飛ばせず意外と難しい。
【Bushwalk】
土を掘り出してBush potatoという芋が出てきました。
まだ小さいですが、そのまま食べれます。
生で食べましたが、おいしかったです。
傷だらけの足。ハンティング時は裸足で何時間も歩きます。
日本人の足なら血だらけになりそうです。凄すぎる。
【Trap】
罠の作り方を教えてもらいました。
鍛えられた足。
輪っかを作って固定します。
トラップの出来上がり。これで小動物を捕まえます。
※罠の仕組み
1、動物がこの輪っかの中の枝に触れる。
2、支えがなくなり引っかけていた上の枝が持ち上がる
3、糸も持ち上がり、輪っかが絞まる
4、輪っかの中にある足が引っかかって捕まる
【アクセサリー作り】
サン族はみんなアクセサリーをつけています。
子供がしているのは、ダチョウの卵の殻のネックレス。
キリで卵の殻に穴をあけている様子。
アクセサリーはダチョウの卵の殻を使ったものが多かったです。
【火おこし】
マッチやライターも不要。そこらへんの草木だけで火をおこします。
木をキリのように回転させて着火。
2分後。完全に火がつきました。細い枝→太い木という順で火を安定させていきます。
【歌とダンス】
ブッシュマンの伝統的な踊りです。ステキ。
夜はキャンプ。
飲食物は自分で持参しないと何もありません。
そういえばブッシュマンは夕食何食べるのだろう?
と思って聞いてみたのですが、なんとこの日は何も食べないのだそうです。。
【ハンティング】
さて、翌日はお待ちかねのハンティング!
往復18キロの道のり。飲み物もしっかり持って行かないと遭難します。
出発したはいいけど、「ブッシュマンは弓矢しか持っていかないみたいだけど、飲み物はどうするんだろう?」
と思って聞いてみたのですが、なんと飲み物は何も持って行かないのだそうです。。
ハンティングの邪魔だからでしょうか。凄すぎます。
この地域は、長い時だと数か月間雨が降らないような乾燥地帯です。
ここで独特の進化を遂げたのは動植物だけではなかったようです。
逆に考えると、何でもそろう便利な環境で育つ日本人は真逆のベクトルで進化しているのでしょうか。。
そこらへんの考察は以下「水分補給からみるナミビア人の進化と人種について」でまとめています。
ハンティング!
亀がいるようです。
ゾウのふん。たくさんありました。
途中ではオリックスの群れやクドゥなどの草食動物が見れました。
クドゥは先にこちら側が気づいて矢を射ましたが惜しくも失敗。
しかし、その緊迫感を味わい、本当に弓矢だけでハンティングをやっているということ、そして獲物を得るのが現実を帯びていたことを体験できただけで大興奮でした。
ツアー参加者は5人いましたが、みんな裸足になり、写真もとらない、物音も立てない、など全面協力してたらハンティングは成功していたのではないかと思います。
お疲れ様でした。お礼にコーラをあげました。
最後にハンティングの感想です。
まず驚いたのがめちゃくちゃ歩くのが速い!通常ナミビアでは時間の流れがゆっくりで、歩くのもゆっくりです。それなのにハンティング時の東京の朝の歩行速度をはるかに上回るスピードについ興奮してしまいました。
でも世界一早いかというと甚だ疑問であり、というか盛りました、すいません。
ハンターというと厳つくて怖いイメージがありました。しかし実際に同じ時間を過ごしてみると、謙虚で優しくて穏やかな民族であったことが印象的でした。
ナミビアは多くの観光資源がありますが、このTsumkweは情報の少なさや交通の便の悪さは現在ワーストNo.1に躍り出ました。
しかし、だからこそ残っている手つかずの文化。様々な手工芸品やハンティングなどを見せてもらいましたが、この時代に今でも生活の一部として残り続けている生活の知恵、サバイバル技術、文化に感動を覚えずにはいられませんでした。
そしてここに来た日本人は自分たちが2組目だと言われました。
つまり、
「自分たちの言葉や行動=ナミビア人の日本人のイメージ」
となるということです。
外国に住むということはどういうことか、改めて思い出されました。
このような希少な文化にふれらせてもらう機会に感謝するとともに、日本人として、というか人として恥ずかしい行動は絶対にしたくないし見たくないです。
青年海外協力隊の採用や研修にコストをかけて隊員の質を維持する必要性はこういったところにもありそうです。
弥生時代にタイムスリップをする、それに1番近い体験ができる場所がここではないでしょうか。そう言うとちょっと盛ったかもしれませんが、そんな奇異な体験をしてみたい方は、是非Tsumkweを訪れてみて下さい。