【これからの途上国との関わり方はどうあるべきか?】アフリカとグローバルIT企業(後編)

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前回の記事で、「何十年もの援助もありアフリカが確実に発展してきている」「行き過ぎた援助がアフリカの一部の国々を腐らせつつある」という現状に触れました。

ここからは、「これから途上国とどういった関係を築いていくべきなのか」、という未来のことを考えてみます。

僕個人としては、「対等な関係」、つまり民間企業のビジネスで関係を深め、双方の発展を目指していくことに大きくシフトする時なのではないか、と考えています。

日々競争にさらされている民間企業に任すことで、競争原理により早いスピードで開発が進むと思います。国としてはその環境を今まで以上に整え、必要なサポートを行う、といった形で関わります。

今まで通り国連や先進国の援助に任せたところで、結局そこには政治的しがらみ、思惑があります。しかし、しがらみがない民間企業は、国境もなく自由に活動できます。特に近年のテクノロジーの進化やグローバル化でそれが顕著になってきました。

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企業活動が国境を越えることが当たり前になり、国と同じレベル、またはそれ以上の大きな力を持つ企業も出てきています。

2015年度のAppleの売上は約28兆円でした。これはタイ、トルコ、スイスの歳入と同規模であり、世界で20位くらいの国家と同等の力を持つようになってきているともいえます。

また、WhatsAppはFacebookに約2兆円で買収されました。2014年の買収時点の月間ユーザー数は4億人もいたので妥当な金額かもしれません。しかし、たった50人の社員によって運営されている点に僕は驚きました。そして今では10億人が利用するサービスとなっています。

日本の企業でいうと、SmartNewsは日本だけでも1,000万DLを超えていて知らない人の方が少ないでしょう。これもまた50人の社員で運営されています。設立から4年しかたっていないことを考えてみると、現代社会の変化の早さを物語っているようです。

少ない資本で急成長するIT企業のレバレッジ効果、ビジネスの成長の早さは、テクノロジーが進化した今ならではの傾向かもしれません。

途上国に限らず、どんな問題にしても、本気で変えようとするならこれを利用するのが一番の近道に見えてきてしまいます。

「国連」「政府」「NGO」「民間企業」…何か目的を達成できるのであれば、どれを使ってもいいのかもしれません。

インターネットの普及に伴う民間企業(特にグローバルIT企業)の大躍進、そして人と情報が国境を超えて自由に行き来している今現在。50年以上も前に作られた国連などのシステム。システムを時代に即したものに再構築をするにしても、利害関係者の数も多く、相当な時間を要する気がします。そんな状況でも民間企業とともにテクノロジーは進化し続けます。「第四次産業革命」なんて言葉が出てくるようになりましたが(全然理解しきれないですが)、社会構造を根底から再定義するような、見えない革命が起きるような、そんな風潮を感じます。

今まで国や国際機関が行われてきた役割も、グローバル企業にとって代わられるかどうかというターニングポイントのようにも感じます。

「途上国」という言葉を普通に使ってきましたが、ナミビアに来てからこの言葉に違和感を感じていました。結構発展してるし、日本人より裕福な人もたくさんいるし、てかそもそも「発展」しなきゃいけないのか?ナミビアの人達は「発展」したいのか?

ほぼ自給自足の村の人達に関しても、日本人より幸せそうな人が一杯いるし、外から口出しするのは余計なお世話かもしれません。

そもそも「途上国」と「先進国」の境界線は戦後70年たってどんどん曖昧になってきています。何も疑問を持たずに使い続けるほうがおかしいかもしれません。

実際に、世界銀行が「途上国」と「先進国」の区別をやめるようです。

「We’re no longer distinguishing between “developing” and “developed” countries」

http://blogs.worldbank.org/opendata/2016-edition-world-development-indicators-out-three-features-you-won-t-want-miss

話を民間企業に戻します。

例えばGoogleなどの企業は、政治的なしがらみがなく、国境もなく、自由です。

Googleは宇宙開発をすすめており、もし衛星を使用してのインターネットが実現されると、世界中のすべての国々で高速のインターネットにアクセスできるようになり、アフリカ奥地でも大量の情報にアクセスできるようになるという革命が起きるかもしれません。

途上国を救うのは国連でも援助国でもなく、グローバル企業なのかもしれません。と言ったら言い過ぎかもしれませんが。

※そもそも救う必要がない、困っていない、余計なお世話、という面も多々ある気がしますが…

実際に、GoogleやFacebookは、ITインフラが整っていない地域に、インターネットが使えるようにする事業を始めています。アフリカ南部のザンビアでは、Facebook社によって無料インターネットのサービスが提供されました。

※FacebookやWikipediaなど一部のサービスのみ

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これはITのような公共性の高いインフラの整備は、本来は国の役割であったものでしたが、その領域に民間企業が進出するという実例であり、これからもっと増えていくかもしれません。そして民間企業と、国や国際機関など公的機関との境界線が曖昧なものになってきているように感じました。

私は青年海外協力隊に参加する前は、ビジネスに対してネガティブなイメージを持っていました。ビジネスは「ひたすら会社の利益を追求する組織」であり、時として「社会の利益に反する」、つまり人のためにならないこともいとわないものである、と。

視野が狭いな思いますが。

でも当たり前なんですが、そんな企業もあれば、公共性の高い企業もあるのが事実です。

近年では、情報化社会が急速に進み、マクドナルドの日本での衰退のように消費者にとって不利益な部分が目立つようになり、労働者を不当に酷使するようなブラック企業がさらされ淘汰されるようになってきました。

マクドナルドなどへの過剰な批判は、結局は、求める消費者にとって不利益になるだけですが、それも適切な肯定と批判に収拾されて、サービスが改善されていく気がします。

Googleなどのビジネスモデルも、企業からの広告収入で成り立ち、消費者は基本的には無料で使用できます。(対価として情報を提供している。情報にそれだけの価値があるということか?)

情報化による透明性の高まってきた現代社会においては、社会の利益を求めることが即ち会社の利益に繋がりやすくなるようになってきているのかもしれません。

こういった背景を考えてみると、現代社会は、民間企業の「消費者志向」「公共性」が強まっているように思いました。

まとめ

急速なテクノロジーの進化に伴い民間のビジネスのプレゼンスは増していき、それはもはや一国にもひけをとらないどころか、それ以上のレベルまできていると思いました。

仮にこれから国際協力、開発の分野をやるにしても、そしてアフリカのために何かをするにしても、これからは対等な関係での「ビジネス」が最適解なんじゃないかと思いました。

と適当に言ってみましたが、こんな自分さえも「アフリカなどの途上国を変えるのはGoogleである」、とアフリカの片隅から世界中の不特定多数に発言できるようになったのはテクノロジーのおかげであり、そんな声が世界中に拡散でき、そんな声を拾えるのもまたテクノロジーの恩恵なのだと思いました。

最近色々と情報収集することが多いのですが、2016年に入ってから、第四次産業革命という言葉が使われ始めています。ビッグデータ、人工知能、IoTなどのテクノロジーの進化と融合により社会構造が根底から変わろうとしているのかもしれません。

とはいえ、Googleなどは世界中のあらゆる情報を握りつつあり、力を持ちすぎている気がします。そういった点で考えてみると、中国政府のGoogleの自由を許さなかった情報統制の方針は(結果Googleは中国から撤退した)、国家として賢い選択だったのかもしれません。実際に、各国政府はGoogleを何とかコントロールと躍起になっているようです。

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最後に、こんな時代の流れであっても、JICAや青年海外協力隊のやっていることは日本にとっても相手国にとっても良いことだらけで、必要なことだと思うし、関係者の方々の弛まぬ努力で必要な改善がされ続けていると思っています。

デジタル上のオンラインのやり取りの比重が増えても、人間として直接のコミュニケーション、オフラインの活動の重要性が際立ってくるようです。

青年海外協力隊のような「Friendly」に「Building friendship」するようなシステムは、このまま残り続けていってほしい、というのが実際に参加してみて思ったことです。

しかし以前の自分は、海外について興味ゼロで、青年海外協力隊のような活動の意義が理解できませんでした。それが変わったきっかけが、アジア、中東、アフリカ、北米など色んな地域の海外に足を運んでみたことでした。

今は、家にいてもネット上で世界中のありとあらゆる情報を見聞きすることができるようになりました。

でもそれだけでは想像しかできないので、結局は行ってみないと本質的な所は分からないのだなと思いました。

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アフリカにいると、現代文明から離れた自然的な生活もまた魅力的だと気づきました。

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ずっとナミビアにいて、自分の進路とか、日本や世界がこれから先どうなるのかちょっとよく分からなくなってきてしまったために、この記事の感じで考えをまとめて整理してみました。

その結果…

世界がどういう流れであれ、とりあえずは自分にできる小さなことをやっていって、一歩ずつ前に歩いていくだけなのかな、という地味な結論に至りました。

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