「青年海外協力隊が任国で遊ぶべき理由」なんて舐めたタイトルにしてしまったが、
要するに遊んだ方がいいのか、遊ばないでひたすら活動に集中すればいいのか、という話を自分の経験に基づいてまとめてみた。
私は青年海外協力隊として国際協力の一端を担うにあたり、試行錯誤して行動してきた。その過程で考え抜いてなんとなくたどりついた、考え方の基礎となっていることについて簡単に書きたい。
大前提であるのは、日本やナミビアのいくつかの利害関係者がいるということ。JICAボランティアはJICAの配下にいるだけではない。まずそれを念頭におかなければならない。
当然ナミビアに来たら、その国の政治的・経済的な環境や歴史・民族・文化・慣習をよく見て考え、分析するべきだ。その上でJICA(青年海外協力隊)の使命・目標をよく考え、更に配属先の組織の文化や職員の価値観を理解する。
自分はこれらの利害関係者(=stakeholder と同僚はよく言っている)の間のバランスをとりながら、協力隊としての目標を達成していくように行動してきた。
何より大切なのは、ここはナミビアだということだ。自分はあくまで外から来た人間であって、主役はナミビア人。そこを間違わないために、そこからずれないためには、ナミビアをできる限り広く深く知る必要があると思った。
自分がやったのはとてもシンプルなことで、大きな街から小さな村まで色々な場所に行く。沢山の人を見て、話し、聞く。
美しい自然を見に行ったり、動物を見たり、伝統民族に会いに行くような観光であっても、結果的にはナミビアを理解する大きな助けになった。
ただ単にお土産を見てまわり、買うだけであっても、そのユニークなお土産の魅力を知り、その素材や作っている人達、そして歴史的な背景を知ることができる。
ローカルな酒場に行ってお酒を飲むだけでもいい。それだけでナミビア人の日常やリアルな姿を知ることができる。
こういったことを考えてみると、旅行に行ったり酒を飲んだり遊ぶということも活動に必要なのかもしれない。ただしこれらの行動は活動のためにやったことではなく、自分が行きたい場所に行き、やりたいことをやっただけに過ぎない。けれども、青年海外協力隊に参加するまでナミビアどころかサブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカ)にすら来たことが無かった。ナミビア滞在経験が全くない、ということはナミビアでの遊び方も知らないのだ。仕事だけしていればいいのではない。仕事後や休日のオフモードのナミビアを知ってこそ、ナミビア人の幸せの価値観を知り、ナミビアへの本質的な理解が深まると思う。
逆に、任国で遊ばないという選択をするのはありか?
私は職業訓練センターで、生徒に対してコンピュータやビジネスの基礎、ビジネスマナーについて教えている。そこでは、ただ単にカリキュラムに沿って教えるのではなく、生徒が今後ナミビア社会に出て働く、自立して生きていく、という目的を常に念頭においている。
そのためには「ナミビア社会」を少しでも知っていなければならない。
それは職業訓練センター以外でもだいたい当てはまる気がする。小中学校などの教育機関では同じような理論がとおるし、政府や役場はその国や地域に対するサービスを直接提供するし、民間企業の管理やサポートも行う。なのでナミビア社会を知っていないとアイデアも出てこない。
任国で活動するにあたり、視野を広げ、その社会に対するサービスを意識することはとても大切だと思った。酒場やクラブ、観光名所も含め全てが社会の一部であり、サービスの一部である。
そもそも、そこまで考えていないにしろ、ただ遊んでその国でお金を使うというだけでも経済をまわす上で大事なことだと思う。
なので言いたいことは、任国でたくさん遊びましょう、ということです。
※活動をするのは当たり前なので言うまでもないです。