青年海外協力隊に参画した理由と国際協力をやめてエンジニアになった理由

お久しぶりです。
実に2年ぶりの投稿になります。
2年間はセルフリカレント教育を行い、キャリアのゼロイチに挑戦しました。
AIが仕事を奪うと言われる一方、新しい仕事も出てくるもので、日本にいながらにして目の前の景色が変わってきたように思います。
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まず2014年に針を戻しまして、そこから振り返っていきます。
自分が青年海外協力隊に参画した理由は2つあります。
  1. 海外に住みたい、住むなら働きたい
  2. 困っている人の為になるような仕事がしたい
そして、そのまま大学院に行き国際協力業界でキャリアを築いていく予定でしたが、
協力隊として国際協力の活動をしていくうちに色々と思うことがあり、
スタートアップでエンジニアとして働いていくことにしました。
それはざっくり言うと以下のような理由です。
  1. より影響力のある人でありたい
  2. 小さな変化ではなく、大きな変化を起こしたい
  3. 途上国は確実に発展してきている一方で、日本が課題先進国となってきた外部環境の変化
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なぜこのような気持ちが芽生えたのか。
それに至るまでの過程をまとめてみました。

青年海外協力隊に参画した理由

システムエンジニア時代

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僕は大学を卒業してから、SEとして働き始めました。
金融機関向けのシステムを開発していました。大学は文系だったものの、当時のプロジェクトはCOBOLという古い言語を使っており、技術的なキャッチアップは今のWeb系の開発スキルと比べると苦労は少なかったように思います。
経済のインフラとも言える証券取引のシステムなどに関わり、やりがいを感じていました。
ただ、仕事に慣れるにつれて、新鮮さが薄れて日々がルーチン化し、マンネリや退屈といった気持ちとともに思考も凝り固まってきました。
東京で月曜日から金曜日まで働き、土日は飲み会やスポーツをするのの繰り返し。典型的な日本人サラリーマンの生活です。
今思えば、世の中には新しい技術がどんどん出て変化する中で、変化のない技術で異動もなく同じような業務を繰り返すことをよしとする企業風土と、それに気づけなかった思考停止状態の自分に問題が合ったなあと反省しています。
COBOLでは今の世の中に大きく影響を与えられるような革新的なものは作れないし、そんな言語に携わり続けることで、エンジニアとしてのキャリアアップの機会は相対的にみて大きく損なわれると思います。
COBOLをやるリスクについては以下の記事がよくまとまっています。
「ブラック」とは思いませんが、どこでも通用する市場価値の高いエンジニアにはなれません。
  1. エンジニアを成長させない環境がそろっている
  2. 新規開発がほぼない
  3. 会社に依存するしかなくなる(他社では通用しない)
途上国への海外旅行
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このような変化の少ない日々を繰り返す中で、視野の狭さやマンネリを本能的に打破するかのように、海外旅行に行くようになりました。
最初に行ったのはカンボジアでした。
今思えば、この旅がその後の協力隊参加やテクノロジーへと進む大きなきっかけとなりました。
実際に行ってみると、日本では普通・当たり前のことが、そうではないことばかりでした。
あらゆるものが言い値であり、騙されることもあり、価格交渉が当たり前。そのためには相場を知り、英語での交渉が必須。
スリや強盗のリスクが高く、時間や場所を選んで動かなければいけない。
バイクはメーターが動かずみんなノーヘル。タクシーに乗っても行き先につれて行ってくれない。
警察も信用しきれず全ては自己責任のマインドが必須。
日本で自分が無意識のうちにいかに守られていたかが理解できた瞬間でした。
小学生が一人で働いている、学校にも行っていない、路上で生活している、物乞いしている…
必死で生きていく子供たちと接すると、自分の生き方がぼんやりと霞んで見えてきました。
「生きていく」ということに本気で向き合うきっかけになりました。
カンボジアから始まった旅は、アジア・中東・アフリカと働きながら続けていきました。
旅は単なるリフレッシュとは程遠い、学びの時間でした。
エジプトのアラブの春
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こうして海外、とりわけ途上国への興味は深まる一方でした。
ここまできたら、住んでみたい。そして、どうせ住むなら働きたい。
日本では当たり前の機会が無いような国で、より困っている人達がいるならば、その人達のために働くことは、日本で働くよりも自分にとっては情熱やモチベーションを持てて、双方にとって価値のあることだと考えました。
途上国で住んで働く、という条件を満たし、自分でも参画できるプロジェクトが青年海外協力隊であり、そのチャンスを手にすることができました。
同時に、そのキャリアは国際協力業界で業務経験としても認められるもので、修士をとることで国際機関やNGO、JICAの職員や専門家といったキャリアが拓けます。
したがって、長期的なキャリアの視点でも参画する価値があるものでした。
総じてみると、自分自身がよりやりがいを実感したいという自己満とも言えます。
ボランティアというと、「動機は人のため」という道徳観があるべきと思っていた時期もありましたが、それは人それぞれでよくて、人のためでもあり、自分のためでもあるのだなと思っています。結果的に誰かのためになり、少しでも良い未来に近づければ良いのかなと思います。それはボランティアに限らず、民間企業も同じなのだと思います。
この時点で、SEは辞めようと思っていました。
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国際協力をやめてエンジニアになった理由

ナミビアでの青年海外協力隊生活

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青年海外協力隊では、職業訓練校のスタッフとして、生徒への教育、日本の視点から考えた新しい教育方法や教育システム、組織への提言を行いました。
また、イベント出店での日本・JICA紹介や、大学のテニス部へのコーチングや寄付プロジェクトの実施と道具の提供など、活動サポートを実施しました。
このように活動を通してナミビア共和国の教育や日本との友好親善に微力ながら貢献できたのかなと思っています。
しかし、それはほんの微力であり、何か大きな変化を起こせたわけではなかったです。
教師としての教育や理想的な教育の形を模索

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コンピューターから事務処理や一般教養・コミュニケーション・チームワークなど、事務系で働く上で必要なスキルの基礎を教えました。そこでは日本でのSEの経験を生かして、日本での働き方を交えながら、時にはナミビアの働き方と対比し、「今学んでいるものが具体的にどのように生かされるか」をイメージして学べるような授業を心がけました。
意識したのは William Arthur Ward(ウィリアム・アーサー・ウォード)の言葉です。
  • The mediocre teacher tells.
  • The good teacher explains.
  • The superior teacher demonstrates.
  • The great teacher inspires.

(和訳)

  • 平凡な教師は伝える。
  • 良い教師は説明する。
  • 優れた教師はやってみせる。
  • 偉大な教師は、人のやる気に火を点ける。
生徒のキャリアを考えてみると、卒業して事務処理の仕事をしたり、教師として教えたり、外交や国際協力の道を進んだり、プログラミングを学んでシステムエンジニアとして働いたり、起業して自分のアプリをつくったりするかもしれません。
そういった未来を見せたり考えるきっかけを提供してインスパイアするのが良い教師なのだと思っています。
生徒は教師の見せる未来以上を想像するのは簡単ではないと思います。
納得できる仕事や生き方を見つけられるのが10代になる人もいれば、30代になる人、あるいは見つけられない人もいます。
学校は、その時間軸を良い意味で早められるチャンスの場だと思います。
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そうした時に、自分が教師としてやって見せられることや語れる未来がとても狭く浅いなと感じました。
コンピュータを教える一方で、生徒が自分のアプリやサービスを作りたいと言った時に、自分はそこまで教えられませんでした。
例えば、今でいうと、世の中への影響力や変える力が極めて大きいGoogleやFacebookのようなサービスの生み出し方や必要なスキルがほぼ分からないに等しい。
どうやって作るのか、どうやってマーケティングして売っていくのか、どうやって開発費用等を集めるのか、どうやって利益を得て食っていくのか、そのサービスを通してどうやって世の中に変革を起こし、良い未来を築くのか。
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自分がやってみたい教育の形は、生徒が学びながら、自分のレベルに合った役割をこなし、チームのアウトプットとしてものやサービスを創り出し、社会に提供し、フィードバックを得て改善していくことを通して、どうやって世の中に変革を起こし、良い未来を築くのかをみんなで考え続けていくことなんじゃないかなと思いました。
時代の流れ、未来、テクノロジーを考える
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こういったことを考えていく中で、この先数年、数十年に世の中への大きな影響力を与えられるものは良くも悪くもテクノロジー(特にWebやインターネット、ビッグデータ、IoT、AIなどのIT)であり、そこをおさえて良い世の中をつくっていきたいと思いました。
教師をやろうが国際協力をやろうが、何をするにもテクノロジーをおさえてレバレッジをきかせることで、大きな変化を起こしうるのではという結論に至りました。
そこの考えはここら辺の記事にまとめています。
そこで、GoogleやFacebookなどの技術のベースとなるWebやインターネットを学び経験を積み、自分自身を教育したいと思い、Rubyプログラミングの独学からエンジニアとしてWeb業界に入っていくことになりました。

帰国してスタートアップでエンジニア 激流の日々

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2017年にスタートアップに就職しましたが、30代でありながら待遇は新卒と同様であり、毎日終電前後で土日も仕事、残業も150時間を超える生活から始まりました。
激流の日々
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しかしそこでは以前のSE時代のような古い技術と違い、日々新しい開発技術が生まれ、勉強して使えるようにならないとあっという間に置いていかれるスピード感です。
Ruby、Ruby on Rails、AWS、Github、アジャイル開発、スクラム開発などWeb業界では当たり前のものも、自分にとっては新鮮でした。
また、JIRA、Confluence、Slackなどの業務ツールも新鮮で効率の良さに感動し、Word、Excel、メールを使う頻度が激減しました。
私服など自由な服装での勤務も、意味もなく黒いスーツで勤務して暗い雰囲気で肩が凝っていた生活と比べて新鮮でした。
既にあるものに新しい技術を加えて新しい価値を生み出しより良い社会をつくっていくようなWeb業界は、働き方や価値観まで全ての観点で現状や常識を疑い、新しい技術や思想で既存のものとぶつかり合い、より良くしていこうという気概を持ち実践していく実行力がある企業が多いです。(最初の会社はブラックという概念を超越する特殊な環境なのであまり参考になりませんが)
逆に言うと、内勤でのスーツ勤務など「今までこうだったから」、「決まりなので」などで些細なことでも惰性が蔓延する文化があると、全体的に思考停止になりがちだと思います。
これはスピード感の早い現代社会では致命的な組織文化ではないでしょうか。
失敗は当たり前
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専門学校や大学院などでお金を払って学ぶのもいいですが、実務経験が得られるわけではありません。スタートアップ(に限らずですが)で働くことは、時としてお金を払ってでも得たい知識や実務経験をお金をもらいながら得られることでもあると思いました。
どちらがいいのか?と言うのもあるし、学業と社会との断絶やその融合について深く考えさせられました。
社会人になるために学ぶのもいいですが、小学生であろうとプログラミングできる人はいるし、学びながら同時にお金を稼げるような仕組みがあるといいなと思っています。
協力隊に行く前に経験したSIerという技術だけでなく文化的にも古めで変化の少ないIT業界と、インターネット系のIT業界(Web業界)は真逆の世界であり、ここら辺の違いを学生の頃に知っておくべきだったなと深い反省をするとともに、学生にそこでの誤解や選択ミスは起こして欲しくないなと思っています。

Webエンジニアとして2年が経過。現在とこれから

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2年が経過した2019年の今では、以前は門前払いされていた企業からオファーを頂けたり、フリーランスとしても働けるようになり、周りの環境の変化が映し鏡のように自分の成長を少しばかり実感できるようになってきました。
とは言え山頂に登ってみたらより高い数多の山頂が見えてくるがごとく課題が山積し続けており勉強の日々です。
SDGsや国際協力にもテクノロジーの波
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こういった経緯で自分は今Webエンジニアをやっています。
働く国は絞るつもりはないのですが、東京は仕事が多く選べるなどメリットが多く、自分のキャリアアップがしやすい東京を選んでいます。
これからやりたいことをあげるとキリがないですが、また時間とニーズがあればプログにまとめたいと思います。
このブログを通して、協力隊参画や就職に悩んでいる方からの相談を受けることもあります。何か相談や共感したこととかがあれば気軽にご連絡ください。
最後にエストニアのスタートアップの秘密基地です
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