【これからの途上国との関わり方はどうあるべきか?】アフリカとグローバルIT企業(前編)

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僕は、ナミビアに来る前は、「アフリカは貧しいから援助が必要だ」と思っていました。

しかし、それは大きな間違いだと今は考えています。

むしろ、今は「行き過ぎた援助がアフリカの一部の国々を腐らせつつある」のではないかとさえ思っています。

と、言うのは言い過ぎかもしれませんが、それに近いネガティブなものを感じずにはいられなかったので

ナミビアに来て起こった心境の変化を忘れないうちにまとめておこうと思います。

※自分の知識や経験が不十分なので、数年後にまた心境の変化が起こるかもしれません…ので備忘録的に記録

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1、十分な援助、想像以上に発展していたナミビア

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まずナミビアに来て驚いたのが、ナミビアは想像以上に発展していたということです。配属先の職業訓練校では数億円の学校改装プロジェクトが進行していました。また、生徒のスポーツ活動の年間予算が100万円以上もあり、「部活動をしたいからそのために予算が必要」ではなくて、「既に決定した予算をどう消化するか」といった感じで議論を行うなど、目的と手段が逆転してしまうほどです。

たくさんのモノの援助も何度も見ました。最新のエアコンが学校の全教室と個人個人のスタッフのオフィスに設置さている、一部屋に2つもあるエアコン、一人のスタッフにそれぞれ提供されるプリンター、使い方が分からない中国製のプリンターが急にやってきて処遇に困る、インクが無くなったらナミビアでは手に入らないという現状…

そういった有り余るほどのモノ。無計画にやってくるモノ。それによって麻痺してくる感覚。

それが来ることを前提として運営されるようになってしまった学校。

(ちなみに小中学校では、逆にモノが足りていないという問題もありますが、とりあえずおいておきます。)

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2、援助が当たり前になると

ナミビアは中進国と言われることもありますが、それでもなお、外からの援助に依存し続けているというのが実態です。このような中で生活していると、どうしても現実を直視しづらいため、「ナミビアは貧しいから自分が頑張ってナミビアの発展に貢献しよう!」といった反骨精神のような風土がどんどん生まれにくくなっているのかな、と思いました。

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でも、このままでは、「いつまでも他国に依存し続ける国家」となってしまい、こんな感じで自助努力を生みづらい状態がずっと続くと、国民性すら変えてしまうのではないか、と思うようになりました。

実際に、学校で何かが不足している時に、「外国は~を援助しなければならない!」と当たり前のように言うナミビア人を目にしてきました。

また、「中国から大規模な投資が行われることが決定した」といったニュースが流れてくると、「中国の配下になっちゃうな」と笑いながら、半ば諦めたように言うのを見ると、独立して26年しか経ていないのに愛国心やプライドといったものを忘れてしまったのか?と心配になってしまいました。

ナミビアはとても若い国ですが、その土地で世代を跨いで積み上げてきた民族としての伝統・歴史・文化などのアイデンティティは大事なものなんじゃないかと僕は思います。

まあ、日本人に心配されるなんて余計なお世話なのかもしれませんが…。

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こういったことは他のアフリカ諸国で働いている人からも聞くことがあり、どうやらナミビアに限った話ではないようです。

現代の先進国は、さながら「過保護の親」のように見え、途上国はこのままでは「いつまでたっても親離れできない子供」のように悲観的に映ってしまうのは僕だけでしょうか。

これから、国にとって重要な決定をする時に、他国に干渉されるようになってしまうかもしれません。

僕個人としては、他国の援助に依存したり実質的に属国状態になってしまうことが悪いとは思いません。ナミビアの人々がそれを分かった上で受け入れているのであればよいと思います。

また、援助国側としては、自国の政治的・経済的な目的や安全保障上の目的など様々なメリットが自分の国にもたらされると見越した上でやっているし、そういった国益を優先する行為は現代の社会システムの中ではごく自然なことだと思います。

ここでは、こういった現実もあるのだということをナミビアに来る前に知っておきたかった、という個人的な勉強不足、反省があります。

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3、青年海外協力隊やJICA事業は必要な事業

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ちなみに、ここまでの「援助」と青年海外協力隊やJICAの事業は全く異なるものだと僕は思っているので、誤解を生まないためにちょっと触れておきます。

青年海外協力隊などの人的援助、技術援助は被援助国の自助努力を促すもので、sustainabilityや長期的な視点があり引き続けてやっていくべきだと思います。金・モノの援助とは意味合いが全く異なります。

しかも、人を介すことで友好関係の構築にもつながり、こういった関係が長年積み重なっていくことが戦争の抑止に繋がると僕は信じているのでどんどん進めていって欲しいです。

言い方をかえると、「将来的に日本が戦争に巻き込まれる可能性を下げる」という安全保障上の効果があるので、今後も必要不可欠ではないかと考えます。

一方的に日本がただ働きしているわけでは決してないと僕は思います。

そんな青年海外協力隊も50周年になりました。

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また、モノの援助に否定的とはいえ、紛争国への支援や災害時などの「緊急援助」はまた意味合いが異なり、必要だと思います。対象が先進国であっても、必要な支援が行き届いていない人たちには届けるべきだし、「援助は~だ」と一言で済ませられるほど単純な話ではないのだと思います。JICAが行うような、必要性をしっかりと精査したうえでの金銭的・物的援助はあってしかるべきだと思っています。

4、これからの途上国との関わり方は?

ここまで、必要以上の金銭的・物的援助には否定的になってしまった経緯について、足りない頭から絞り出して書いてきました。

しかし、ではこれからこういった途上国から抜け出しそうな国々と、今後どのような関係を築いていくべきなのか、考えてみました。

僕個人としては、「対等な関係」、つまり民間企業のビジネスで関係を深め、双方の発展を目指していくことに大きくシフトする時なのではないか(??)、と考えるようになりました。

はっきり言って、何故かと言われると論理的に説明できないくらい難しい問題で、一言で言うと直感的にそう思うだけです。

これから先のこと、特に「途上国と先進国のかかわり方」とか「貧困を無くす方法」とか大きなことに対して、完璧なロードマップをかける人は誰もいないと思うし…。てかそれができたら貧困とか援助は既に無くなっているわけで…。

Gandhi M Terasa

※そもそも論として、途上国や貧困という概念の無い完全な「公平」はあり得ないと思うし、他人と比べて考えてしまうのが人間だと思います。それでも機会の平等だとか児童労働を無くすとか理想を求めて考え、行動を続けるのは大事かなあと思っています。

ちょっと長くなってきたので、「これから途上国とどういった関係を築いていくべきなのか」、という僕がテキトーに考えた未来の話は以下の後編に書きます。

【これからの途上国との関わり方はどうあるべきか?】アフリカとグローバルIT企業(後編)
前回の記事で、「何十年もの援助もありアフリカが確実に発展してきている」「行き過ぎた援助がアフリカの一部の国々を腐らせつつある...

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