アフリカで中国人が馬鹿にされている理由について考えてみた

ナミビアの人口は約230万人います。そのうち日本人はたった40人ほど。というかアジア人がそもそも少ないです。なので街で歩いているだけで非常に目立ちます。常に物凄い視線を感じます。慣れるまでは怖いくらいです。それにストレスを感じる日本人はとても多いです。しかし、東洋人は全て中国人だと思われています。それはナミビア在住の東洋人のほとんどが中国人だからでしょう。

ただ興味本位で見られるだけならまだましなのですが、問題は、ここでは中国人に対して良い印象を持っている人はとても少ないということです。むしろ悪い印象を持っています。僕が街を歩いていると、「チャイナ!」とか「チンチョンチャン!」と笑いながら言われて馬鹿にされる事があります。5歳くらいの子供にも言われるときは苛立ちを通り越して悲しくなってしまいます。

街中の様子。

rundu-town

自分は、中国人に間違われること自体はしょうがないし、理解できます。ナミビア人とアンゴラ人との見分けがつかないように、日本人と中国人の違いも分からないですからね。個人的にも中国人の友達も多く、みんな大好きです。

しかし、ナミビアで問題なのは、中国人扱いをしながら馬鹿にしている、侮辱している、という点です。そこは個人的には腹が立ちます。日本人に対しても失礼ですが、まず中国人に対して非常に失礼ではないかと思うのです。

これって実はナミビアだけではなくて、他のアフリカ諸国や南米などでもあるようです。

※もちろん、偏見を持っていない人もたくさんいます。

なんでそんなに侮辱的な態度をとってしまうのか。ナミビアに原因があるのでしょうか?それとも中国に原因があるのでしょうか?

今回はその理由について考えてみました。

■中国人による密漁・密輸

まず、犯罪を犯す中国人がいるということです。その原因はだいたい密漁、密輸です。サイの角や象牙などでつかまります。半年に1回くらい聞く程度でそんなに多くはないのですが、新聞やテレビなどのメディアで大きく報道されてしまうというのと外国人の犯罪ということで非常に目立ってしまいます

※ちなみに、ナミビア在住の中国人のほとんどは良い人です。

■中国人のビジネス手法と品質の低さ

また、ナミビア人と話していてよく聞くのが、「中国人はナミビアに来てお金を稼いで中国に持って行ってしまう」、そして、「現地人への給料が安い、教育をしない」、などです。ナミビアで働く中国人に多いのが、建設業者です。中国の会社が建設を請け負い、ナミビア人を雇いながら働いている姿はよく目にします。

ここで思うのは、嫌ならナミビア人だけでやればいいじゃないか、ということです。

「中国がつくった建物は品質が低い」、とこぼしている人もいます。ならばどうして中国人に委託をするのか?それは「ナミビアの会社に頼むと非常に時間がかかり、途中で放棄されてしまう」ことが多いようなのです。一方で中国の会社はそれよりも早く確実にプロジェクトを遂行できるらしいです。ここらへんは頼んでいるナミビア側に原因がありそうです。だって少なくとも中国よりナミビアの方がイケてないとナミビア人自身が判断しているということですから。

この現状に不満があるならば、もっと悔しさをつのらせて、中国人を見返してやる、ぐらいの反骨精神を持っていってほしいです。自助努力は国のさらなる発展を目指すならば必須のマインドだと思います。そういう意味では、行き過ぎた海外からの援助は援助慣れにつながります。援助慣れして他の国に甘えるということは、気づいたら他国の属国のようになってしまい、ある意味では国民性まで変えうる非常に危険なものだと思います。

また、ナミビアには中国人が経営する雑貨屋さん、いわゆる「チャイナショップ」がたくさんあります。地方の街ですら数十店もあります。そして低価格・低品質の商品を取り扱っています。そのため、中国の商品は低品質というところから、中国人自体の印象も悪くなっているのかもしれません。

■チャイナショップ(首都:チャイナタウンにて撮影)

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これに関して言えるのは、チャイナショップは安くて貧困層でも手に入る商品を販売しており、ナミビア国民に大変貢献しているということです。従って、ナミビア人はむしろ感謝すべき点だと思っています。

■中国人の英語力、コミュニケーション能力、ナミビアに来た理由

最後に、中国人の印象が悪い一番大きな原因が、コミュニケーションだと思います。ナミビアに来る中国人はイケイケのビジネスマンは少なく、中国で稼げなくてしょうがなく出稼ぎで来ている人が多いです。Huawei(ファーウェイ/華為技術)のような国策会社も進出していますが、国同士の大きなプロジェクトで、関係者がナミビアのローカルな場所に顔を出すことは無いと思います。近所で建設を行っている中国人に実際に話を聞いてみましたが、家族を中国に残して単身赴任で来ている人が何人もいました。「ナミビアの建設プロジェクトで何年か頑張って稼いで中国に戻るんだ」「帰国したら彼女と結婚するんだ。そのためにも資金が必要だからナミビアで頑張って働かないといけない」、と言っていました。そしてそのプロジェクトでは英語ができる人が「通訳兼プロジェクトリーダー」の1人しかおらず、他の10名は英語はからっきしダメだったので驚きました。TOEICを受けたら300点もいかないようなそんなレベル感です。そんな英語ができない人がたくさんいるので、ナミビア人とコミュニケーションが希薄になり、誤解されるのは当たり前だと思いました。何より問題なのが、ナミビア人とコミュニケーションをとったり仲良くなろうという意識を持つ中国人が非常に少ないのではと思います。いつも中国人同士でつるんでいるし、英語を学ぶ気もなく、挙句の果てには、ナミビア人に対して中国語で話すようなことも多いようです。

こういったことを踏まえると、ナミビア人が中国人を馬鹿にするのはある意味は理解できることだと思いました。(賛成はできませんが。)

中国人建設会社の人達。夕食に招待していただきました。ナミビアの地方都市で出会った日本人と中国人。自然と同郷意識が生まれてしまったのがおもしろい!

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■異文化理解の大切さ、そして自分が学んだこと

僕は青年海外協力隊としてナミビアにきましたが、元々外国人との交流や異文化交流への興味が強く、モチベーションが高かったです。それでもナミビアで現地の人々と密にコミュニケーションをとり仲良くなるのは簡単なことではなく、たくさんストレスを感じながらもそれを乗り越える強い意志を持ってして初めてなせることだと思いました。なので、日本人(JICA関係)とは全く別の目的の「出稼ぎ」という形でナミビアに来た中国人がナミビア人に誤解されたりするのは当たり前なのかなと思うようになり、また、それはナミビアに来る中国人が悪いわけでもないなと思っています。

でも、中国人は10億人以上も国民がおり、それなりの数の人が海外に出ざるを得ない状況であり、又は、そうしようと中国政府として戦略的に考えているのではないかと思います。中国政府としては当然このような状況を理解していると思うので、国民が海外で適応できるようにもう少し教育や海外研修的なものを工夫したら状況は大きく変わるのかもしれません。あとは協力隊のようなボランティアを送ればおもしろいですね。

一方で、ナミビア人の中国人に対する偏見や誤解を解くのは非常に難しいことだと思います。それはどうやったら可能なのか考えてみました。

自分が思いついた答えは2つあって、「民間交流」と「教育」です。

「民間交流」については、中国に留学して周りが全て中国人の環境に置かれれば、中国人の気持ちがよく分かるようになるでしょう。中国人の友達もできるでしょう。そんな経験をナミビアに持ち帰る人がどんどん増えれば良いのです。

次に「教育」について。世界には色々な国、文化、民族があり、価値観や考え方も様々です。それでも、人間として共通する部分はあります。人の好意や優しくされたら嬉しいし、返したくなります。馬鹿にされたり嫌なことをされたら悲しく傷つきます。家族や友人など大切な人をなくしたら辛いです。どの国でも一握りの悪い人はいるし、良い人もたくさんいます。見た目だけでは何もわかりません。何人であれ、「〇〇人は〇〇だ」と一括りにできません。まずは話してみてからその人がどんな人なのかが分かります。そういった国際理解など道徳的観点で教育に力を入れてほしいです。

政府同士がいかに仲が良くても、いかに不仲でも、それやメディアに流されて国民同士の仲が決まるなんて本末転倒で馬鹿馬鹿しいものです。一般国民同士の交流を通して仲良くなったら、政府間の関係性すら変えうる力になると思います。本質は結局「人と人」であって、「国と国(政府と政府)」はあくまでもお互いの「人と人」がより良く生活できるための手段でしかないと思います。

英語で言うと、

「Everyone except for refugees has a home country but we need to regard him or her as an individual first.」

こういったことを意識する人が少しでも増えれば、偏見や誤解、差別も減っていくのかなあと思いました。時間がかかることだと思いますが、そんな国になってほしいなあと僕は思っています。そして同時に、マイノリティがかかえるストレスや悩みを経験することができました。これをプラスにとらえ、日本在住の外国人には同じような嫌な思いをしてほしくない、親切にしたいな、と思いを新たにしたナミビアライフでした。

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